2023年10月19日

10歳から知っておきたいお金の心得 キッズ・ステーション

10歳から知っておきたいお金の心得 大切なのは稼ぎ方・使い方・考え方 監修 キッズ・ステーション 八木陽子 えほんの杜(もり)

 『にゃんこ大戦争で学ぶ! お金のヒミツ KADOKAWA』を読んで、類似のこどもさん向けお金の取り扱い本をないかと探したら見つかった本です。文章構成のつくりは似ていますが、こちらの本は薄くて読みやすそうです。イラストやマンガも見やすい。

 思うに、世の中は『仕事』で成り立っています。
 スポーツ選手でも芸能人でも慈善事業だけが目的で体を動かしているわけではありません。大きな感動を与える仕事でも地味で目立たない仕事でも、お金を生活の糧に(かてに。生きていくための食べもの)するために人は働いています。
 こどもたちには、まず働いて、自分で稼いで、食べていくことを教えます。自立と自活をめざすのです。

 本を読んで、小学生がどこまで理解できるかそのこどもさん次第です。そのときは、なんだかわからなくても、そういえばこの本になにか書いてあったと、いつか役に立つであろう本です。

 さて、読み始めます。

 強調されていることです。
 お金の稼ぎ方(かせぎかた)と、お金の使い方と、お金の考え方です。

 『はじめに ~おうちの方へ~ 』に、「日本はお金の教育が遅れていると言われています。」とあります。
 外国のことはわかりませんが、ペーパーテストに備える勉強は徹底していても、お店で買い物をする力は教えられていないような気がします。
 貯金しなさいとは教えられていても、お金を効果的に使いなさいとは教えられていないような気もします。

 『お金は社会の血液』とあります。そのとおりです。
 働いて、社会貢献をして、投資で会社を応援するというメッセージがあります。
 まずは、世のために人のために働くという動機付けがないと、仕事場での不祥事が横行します。不正をして人のお金を自分のポケットに入れようとする人が出てきます。内部の担当者の犯行はなかなかとめられません。人間同士の『信用』がだいじです。約束を破った者には厳罰が待ち受けています。

 価格の設定のされかた。
 『円』の価値
 『インフレ』『デフレ』の説明
 キャッシュレス決済
 暗号資産
 銀行
 投資。株式投資
 税金、社会保障。医療費の支払い、年金制度
 以上のような構成になっています。

 需要と供給の部分を読みながら思ったのは、わかりやすいということでした。
 山の上では同じものでも価格が高いのはなぜか。その説明文は小学生でも理解できる内容でした。

 100円玉くんが、「昨日(きのう)の私と今日の私はちがうの!」というセリフので出てきます。わかりやすいマンガ描写です。

 円安になると、輸入品が高くなる。
 景気がいい:世の中でお金がたくさん回っている。
 インフレ:物価が上昇する。給料があがらない人は困窮する。
 デフレ:物価が下がる。給料が下がる。不景気になる。
 
 いろいろな物の価格について、昔と今の比較があります。「はがき」「銭湯(せんとう)」「タクシー代」みんな、価格が上昇しています。

 原価の説明があります。材料費、人件費、運搬費など。原価よりも高く売らなければもうけが出ません。
 
 キャッシュレス決済のことが書いてあります。
 「前払い」:電子マネー(交通系、流通系)。事前にお金をカードにチャージしておく。
 「即時払い」:銀行発行のデビッドカード(預金から即時落ちる)
 「後払い」:クレジットカード

 端末のタイプとして、「QRコード」「バーコード」「ICチップ」「磁気テープ」未来においては「顔認証」が予想されているそうです。

 キャッシュレス決済の危険性について書いてあります。悪いことをする人がいる。防衛のための対策が書いてあります。

 暗号資産(仮想通貨)について書いてあります。
 お金のように使えるデータのこと。
 「ビットコイン」
 暗号を知っている人たちが共有できるお金だそうです。
 暗号資産の歴史のようなことが書いてあります。インターネットゲーム内で使われていた通貨から始まったそうです。
 お金ではなくて「資産」。インターネット上でやりとりができる価値のあるモノ。(知らないほうがいいような気がします)

 お金の歴史があります。硬貨ではなくてモノです。貝から始まっていろいろあります。

 スティーブ・ジョブズ氏の言葉がいい。『墓場で一番の金持ちになることは私には重要ではない……』ひたすら節約をして、たくさんのお金を残してあの世に逝く(いく)人は多い。

 銀行について書いてあります。
 役割、業務内容、日本銀行です。
 半世紀前までは、銀行の窓口で用紙に記入してお金を出したり入れたりしていました。もうその時代を思い出すこともなくなりました。なんというか、自分たちの世代は、世の中のありようが急速に変わった時代を体験しています。変化についていけているという実感はありません。ついていっているようなふりをしているという実感はあります。

 「預金」「貸出」「為替(かわせ。預かったお金を他の人の口座に振り込む)」

 日本銀行:中央銀行。お金を発行できる。金利を調整している。日本政府とは別組織。自立している。政治家の言動に左右されない。

 投資のことについて書いてあります。
 株式投資の勧めがあります。
 『投資は会社を応援すること』基本です。でも、目先の金もうけばかりに目がいく目が血走った投資家もいます。うまくいくこともあるし、うまくいかないこともあるのが投資です。少しもうかればそれでいい。
 株式優待のことも書いてあります。
 「株」「投資信託」「国債」そして、「ジュニアNISA(ニーサ)」「株式ミニ投資」について書いてあります。
 
 最後のほうで、自分に投資すること。お金を自分の能力向上に使って、能力を生かして働いて稼ぐこと。

 ユダヤの教えというのがなかなかいいと感じました。
 3分の1は、不動産で保有する。(価値ある不動産。家と土地)
 3分の1は、投資で使う。
 3分の1は、預金で保有する。

 税金や社会保障の話があります。
 税金が何に使われているかが書いてあります。なかなかすんなりこどもに説明できるおとなは少ない。払いたくないという人は多いけれど、払わないと社会はまわっていきません。経済を下支えしているのが税金制度だと思います。集まった税金の固まりが潤滑油になって経済活動が回ります。
 社会生活で恩恵があるものが、なんでもタダというわけではないのです。
 税金の種類の説明があり、やがて、選挙制度の説明につながります。今は小学生ですが、18歳になったら選挙権を獲得できます。
 こどもも払っている税金が、「消費税」とあります。半世紀ぐらい前は、「消費税」はありませんでした。

 社会保障について書いてあります。なんだか、社会科の勉強のようになってきました。
 医療保険(健康保険)、雇用保険(失業保険)、年金保険(年金制度)です。そして、公衆衛生について書いてあります。なかなかいい本です。高齢者福祉、母子福祉、児童福祉、障害者福祉、生活保護制度、なかなか範囲が広い。

 おこづかい帳の作り方があります。おとなでも収支管理のための家計簿をつけていない人は多い。こどものときから習慣づけをしましょう。お金をコントロールしないと生活が破たんします。

 おもしろいなあと思った名言があります。
 『お金がないから何もできないという人は、お金があっても何もできない』小林一三(こばやし・いちぞう)日本の実業家。初めて聞きました。ユーモアがあります。

 『おわりに』の言葉も良かった。
 メッセージとして、『学校の授業ではお金のことはあまり教えてくれないよね。でも、よのなかに出るとお金はとても大切……』(そのとおりです)

 私事ですが、『人生ゲーム』が大好きで、おもちゃのお札をみんなに配ったり、みんなから集めたりする小学生の孫がいるので、その孫にこの本をプレゼントするつもりです。きっと役に立つと思います。

(その後のこと)
 東京へミュージカルを観に行きましたが、開演までに時間があったので、東京駅近くのお金にまつわる施設を見学しました。

 最初に見学したのは、東京証券取引所です。東証アローズです。
 無料で見学ができました。写真撮影もできました。そこそこの人数の見学者がありました。外国の人も見学されていました。
 なんというか、いい職場だなーーと勝手な解釈をしました。静かです。見学者の人たちはどなたも上品そうです。
 医療とか福祉の仕事だと、生きるか死ぬかで悩んだり、すったもんだしたりするのですが、お金扱いのことだけなら生きるか死ぬかまではいかないので安心な仕事だと、熊太郎夫婦は見学を終えて話をしたのでした。こちらは、『損か得か』の世界です。



 儀式の時に鳴らす鐘です。



 次のパネル写真は、大河ドラマの素材になった渋沢栄一さんです。
 以前本を読んだことがあります。『現代語訳 論語と算盤 渋沢栄一 守屋淳・訳 ちくま新書』渋沢栄一:1840年(天保11年)-1931年(昭和6年)91歳没 1968年が明治元年 農家、武士、官僚、実業家、慈善家。この本は、渋沢栄一さんが書いたものではなく、渋沢栄一さんの講演の口述をまとめたものだという説明が冒頭にあります。
 渋沢栄一さんは、「近代日本の設計者の一人」と「はじめに」の記述にあります。設立に関わった会社が481社、500以上の慈善事業に関わった。
 資本主義は、金もうけが推進力だから、ときに、大きな惨事を引き起こす。バブル経済の崩壊、金融危機があったとあります。それにブレーキをかけるのが孔子の「論語」とあります。「人はどう生きるべきか」を前提にして経済活動を行う。











 先日三重テレビの株式の番組を観ていたときに、次の写真のまんなかにある空間で上場の儀式が行われていました。エスカレーターをおりて、わたしたち夫婦もその場所に立ってみました。とても静かでした。



 見学を終えて川沿いに歩き始めたら、『兜神社(かぶとじんじゃ)』がありました。
 世界が平和で、みんながお金持ちになりますようにと、おさいせんを100円入れてお参りしておきました。



 日本橋のモニュメントです。橋の欄干(らんかん)にある青銅の麒麟像(きりんぞう)です。モニュメント:記念碑(きねんひ)



 日本銀行と道をへだてて建っている『貨幣博物館』を見学しました。無料です。手荷物検査があります。館内の写真撮影はできません。
 孫たちが好きな『人生ゲーム』が、ガラス張りの中にある棚に展示してあったので、ひっくりかえるほどびっくりしました。ただし、孫の人生ゲームは、ドラえもん版の人生ゲームです。細長い紙の箱に、おもちゃのお札が種類別に差し込んであるつくりはいっしょです。
 館内では、貨幣の歴史が詳しく、実物を展示しながら説明がなされていました。小判とか紙幣とか、外国のものも含めて展示があります。けっこうたくさんの人が見学されていました。



 貨幣博物館の出入口付近から日本銀行の建物を撮影しました。木の枝がいっぱいでうまく撮影できませんでした。
 昨年12月末は、日銀総裁の黒田バズーカという日銀の金融緩和があって、メガバンクの株価が垂直上昇してびっくりしました。新しく総裁になられた植田さんのバズーカは、いつ発砲(はっぽう)されるのだろうかと楽しみにしています。




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